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技術担当役員メッセージ

取締役執行役員 技術本部長 海崎 文孝

この度、取締役に就任し、技術部門全体を統括することとなりました。通信は今や、救急医療や金融決済、有事の安否確認など、人々の暮らしと社会生活を支える重要な社会インフラとなっています。「いつでも、どこでも、当たり前につながる」、この使命を最前線で担うことの重責と、大きなやりがいを感じています。

私はこれまで、固定電話通信から、モバイルやデータ通信へと発展する時代の中で、基地局、コアネットワーク、端末開発、さらには4G(LTE)やVoLTE※導入など通信技術の幅広い領域に携わってきました。また、グループ会社であるOTNetでは経営にも携わり、技術と経営の両面から組織の成長と向き合ってまいりました。

新しい技術やシステムを導入する際、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の最適なバランスをどう見極めるか。固定とモバイル、そして現場と経営という多角的な視点から最適解を導き出してきたこれまでの知見を最大限に生かすことこそが、現在の技術トップとしての私の役割であり、責務として求められているものだと考えています。

ニーズとシーズを掛け合わせ、成長を牽引するエンジンへ

2030年に向けた中期経営計画を達成するためには、技術部門も大きく意識を変えなければなりません。激しく変化する時代のなかで、現状を打破する「チェンジの力」が必要です。

これまで技術部門は、高品質な通信インフラを構築・維持する役割を担ってきました。しかし今後はそれに加え、自らがもつ最新技術(シーズ)と、社会や地域の課題(ニーズ)を結びつけることで、新たな価値創造を担う成長「エンジン」へと進化していく必要があります。

その象徴的な取り組みとして、「先端技術推進室」を新設いたしました。営業や企画部門とも密に連携しながら、AIや次世代通信技術を活用した新たなサービスやソリューション創出に挑戦しています。当社の技術部門には石垣島や宮古島など離島出身のメンバーもおり、日常の会話から「離島の地理的なハンディキャップを、ドローン物流や遠隔医療などの通信技術で解決したい」といった具体的なアイデアが次々と生まれています。

もちろん、24時間365日インフラを「守ること」と、創造的な「先を見た仕事」の両立は簡単ではありません。技術者の中にも、縁の下で通信品質を堅実に守るのが得意な人財もいれば、新しい領域へ果敢にチャレンジする人財もいます。大切なのは、両者を分断するのではなく、それぞれの特性を見極めながら人事ローテーションを行い、組織全体として「守り」と「先を見る」仕事のバランスを取っていくことです。通信品質は、一度設備を整えれば終わりというものではありません。エリアを広げた後も、現場の声や通信状況を捉えながら、改善を続けていく必要があります。

実践的な知見を活かす災害対策と、100%沖縄投資の強み

インフラを守るうえで、沖縄特有の台風や災害への備えは極めて重要です。当社では停電に備えた基地局への発電機併設をこれまでも進めていますが、これには多大なコストがかかります。それでも徹底した配備を実現できているのは、私たちは経営資源を「100%沖縄に集中し地域特性に応じた機動的な投資判断ができる」からです。全国規模のキャリアであれば、投資回収効率の良い大都市圏に予算を優先配分せざるを得ない場面もありますが、私たちは沖縄の通信を守るための決断を最優先に下すことができます。さらに、光ケーブルなどのバックホール※回線が断線した際の代替手段として、衛星通信「Starlink」をいち早く導入いたしました。竹富町などの離島で光回線の障害が起きた際にも、保守要員がStarlinkを持ち込んで迅速に復旧させるなど、現場で蓄積した実践的な知見が、現在の確固たる強靭性につながっています。

また、ネットワークが利用できないような災害の際にも、他社と相互にネットワークを利用してお客さまの通信をカバーする「JAPANローミング」サービスが2026年4月から始まりました。実際に、直近の台風発生時には救済措置が複数回発動され、当社のネットワークの強靭性が改めて実証されました。

第三者評価でも高い評価をいただいていますが、これを実現できているのは、先述の「100%沖縄へ投資できる環境」に加えて、グループ会社であるOTNetの存在が挙げられます。固定回線網をもつOTNetと一体となり、モバイルと固定の両面から一貫したネットワークを構築できるのは、国内でも当社グループならではの強力な武器です。

今後も沖縄のネットワークの強靭性に磨きをかけ、お客さまに安心してご利用いただけるように尽力してまいります。

2030年、「移動中も離島もつながる、ちむどんどんするスマートアイランド」へ

新しい技術は、地域に実装されて初めて価値を生みます。例えば、ギネス記録にも認定される那覇大綱引きのような伝統行事では数十万人が密集し、参加者の皆さまが一斉に通信を利用した場合、通常の通信網は輻輳してしまう可能性があります。そこで当社は、5Gの「ネットワークスライシング」技術を活用し、放送事業者さま向けに専用の帯域を論理的に切り出し、安定した高画質映像の伝送を実現しています。

今後は、AIデータセンターやオール光ネットワークといった最新技術も、本土から遅れることなく沖縄へタイムリーに展開できるよう準備してまいります。

私たちが目指すのは、2030年のビジョンに掲げた「移動中も離島もリアルタイムでつながる」世界の実現です。医療、観光、物流、モビリティなど地域産業の高度化を支え、社会課題を解決し、沖縄の持続的な成長に貢献してまいります。

最新技術を駆使して未来を描く一方で、私たちの根底にあるのは「24時間365日、当たり前のようにつなぐ」という技術者としての揺るぎない使命感です。社員一人ひとりが「つなぐのは沖縄への想い」という意識を胸に、全社の合言葉である「地元に全力!」をインフラの現場から体現しています。沖縄がワクワクするような「ちむどんどんするスマートアイランド」へと進化していく未来を、私たち技術部門が、確固たるインフラの力と新たな価値創造エンジンの両輪で、力強く切り拓き、沖縄の持続的な発展と企業価値向上に貢献してまいります。

取締役執行役員 技術本部長 海崎 文孝