メインコンテンツへスキップ

トップメッセージ


通信は、いまや単なる通話やスマートフォンをつなぐだけのものではありません。AIや決済を支え、暮らしやビジネス、地域課題の解決にも関わる社会インフラへと役割を広げています。こうした変化の中で、沖縄セルラーが今後目指すべき成長の起点には、常に、創業以来受け継いできた「沖縄のために」という想いがあります。

当社の原点は、1990年に設立された「沖縄懇話会」に遡ります。その発足の場で、京セラや第二電電(現KDDI)の創業者である稲盛和夫氏が「沖縄に独立した通信会社をつくろう」と提案しました。九州の一営業地域としてではなく、沖縄の文化や風土を活かしながら経済成長を実現するには、沖縄に本社を置く会社が必要だという考えです。その趣旨に賛同した地元の有力企業43社と第二電電が力を合わせ、1991年に誕生したのが当社です。

こうした設立の経緯があるからこそ、出資企業の皆さまにも、役員や社員にも、創業当初から「これは自分たちの会社だ」という当事者意識がありました。現在も、沖縄のために働きたいという想いは社員に受け継がれ、会社の中に浸透しています。私自身、創業の想いが全社員のDNAとして脈々と受け継がれ、会社の文化になっていることは、本当に誇らしく感じています。地域の皆さまからの信頼と、地域へ貢献しようとする気持ちを土台に、当社は成長を続けてきました。

当社は、創業時から自然体でサステナビリティ経営を実践してきた会社でもあります。「事業を通して、沖縄経済の発展に貢献すること」という経営の理念は、当社の合言葉である「地元に全力!」となって、社員全員の心に深く根付いています。そのことをよく表している一例が、南大東村へコンテナ型の植物工場を提供した取り組みです。離島では天候が悪いと葉物野菜が届かなくなることがありますが、植物工場によって、学校給食へ年間を通じてレタスなどの葉物野菜を供給できるようになり、大変喜んでいただきました。この取り組みは、当社の売上にもつながっており、地域へ貢献しながら事業としても成長できた一つの例です。

こうした想いは、経営層だけがもつものではありません。社員一人ひとりが、お客さまの声を受け止め、課題があればすぐに動き、改善しています。そうした日々の行動の中に、創業の想いが表れています。地域の皆さまに支えられて生まれ育った当社が、これまで築き上げてきた お客さまや取引先との強固な信頼関係こそが、当社ならではの最大の強みです。

中期経営計画で掲げた2030年度営業収益1,000億円、成長領域300億円規模という目標も、この土台の上で次の成長を実現していくための決意の表れなのです。
 

地域を深く知る力が、 ネットワーク・店舗・オペレーションを磨く

創業の想いは、「ネットワーク」「店舗」「オペレーション力」という3つの強みへと進化してまいりました。いずれも100%沖縄のために必要なことは何かを考え続けてきた結果です。

沖縄の人口は全国の1%強に過ぎません。仮に全国企業の一拠点であれば、人口構成比を基準に投資の判断や優先順位が決まることもあるでしょう。一方、沖縄に本社を置く当社は、沖縄に必要なことを自ら考え、迅速に決断し、投資を行うことができます。この地域密着の経営構造そのものが、他社には真似できない大きな違いであり、私たちの強みの源泉です。

1つ目の強みである「ネットワーク」では、沖縄特有の環境や、お客さまの動向を深く理解したうえで設備投資を行ってきました。例えば、地元でイベントが開催される際には通信量の急増を予測し、その動向に合わせたサービスの提供をしています。こうした地元企業ならではのきめ細かな対応により、創業から間もない段階で「沖縄セルラーは一番通信品質がいい」というご評価をいただき、現在に至るまでその確固たる信頼とイメージを築き上げてまいりました。

2つ目の「店舗」についても、単なる販売の場とは捉えていません。お客さまの声が集まり、ニーズを理解できる大切な接点です。県内全域に、他社の約2倍となるauショップ網を築き、身近な場所で相談していただける環境をつくってきました。お客さまとの接点を持ち続け、そこで得た声を日々のサービスや改善へ反映できることが、県民の皆さまとの関係の深さにつながっています。

そして3つ目が、これらを日々動かしていく「オペレーション力」です。ネットワークも店舗も、「一度つくれば終わり」ではありません。通信を取り巻く環境がめまぐるしく変化するなかで、日々の運営力が何よりも大切になります。課題が出ればすぐに動き、迅速に対応して改善し、磨き上げる。私たちはこの知見を長年蓄積し、しっかりと組織の力として定着させてまいりました。

単一の施策ではなく、これら3つの強みの掛け合わせがお客さまに寄り添い続ける力を生んでいます。それが揺るぎない信頼となり、現在の高いシェアと安定したキャッシュの創出につながっています。
 

野心的な目標を、実現可能な成長計画へ

通信の役割の変化を、次の成長機会として捉える

通信が社会インフラへと役割を広げるなかで、私たちが今後どのように成長していくべきか、その具体的な道筋をお示しするのが現行の中期経営計画です。

計画では「通信というコア事業」「成長領域」「経営基盤」の3つを一体で強化していきます。2030年度の営業収益1,000億円、うち成長領域で300億円規模という数字は、計画策定時から倍増させるという、アグレッシブな目標です。これは単に大きな数字を掲げたわけではなく、コア事業を確実な基盤としながら、自ら新しい価値を生み出し、成長領域を力強く伸ばしていくという私たちの強い意志の表れです。
 

この変革を力強く推し進めるための「エンジン」として機能しているのが、「セルラー6X経営」という新たな取り組みです。これは、当社が定めたマテリアリティの解決を通じて、県民の皆さまの笑顔や沖縄の発展に貢献していくための具体的な推進体制です。変革に不可欠な6つのテーマを掲げ、それぞれに次世代を担うリーダーを任命いたしました。既存の部署の枠を取り払った部門横断的なチームに多様なメンバーが集まり、これまでにない視点で具体的な戦略を練り上げています。

取り組みはすでに動き始めています。例えば、「CX」の向上では、離島へauショップカーを走らせ、きめ細かなサービスを提供しています。販売担当だけでなく技術担当者も一緒に海を渡り、通信エリアの弱い場所を直接ヒアリングするなど、サービスと通信環境の両面できめ細かな対応を行っており、今年度中に18箇所ほどへ伺う見込みです。また、「EX」の面でも、事業を支える社員の働きがいや創造性を高める人事戦略が本格的に動き出し、確かな手応えを感じています。

初年度から各テーマの方向性はかなり明確になってきました。次世代を担うリーダーたちが中心となって取り組み、確かな手応えを感じています。

試行錯誤の先に、成長の勝ち筋が見えてきた

今後の成長に向けて、私たちが共通の軸に据えているのが「All for Family.」というブランドステートメントです。県民の皆さまだけでなく、沖縄の豊かな自然も含めて大きな家族と捉え、その一人ひとりに寄り添いながら新たな価値を提供していくという考え方です。

パーソナル領域では、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)、つまりお客さまに長く利用していただくことを重視しています。通信を起点に、さまざまなサービスや地域との接点を広げ、暮らしの中で継続して選んでいただけるよう取り組みを重ねることで、安定した事業の基盤をつくっていきます。
 

一方、成長領域についても、十分に目標達成を狙えると確信しています。特に成長率が高いのが企業や自治体向けのビジネス事業です。ビジネス領域の売上目標は、計画策定時の約2.5倍となる160億円と決して簡単な数字ではありません。これまでパーソナル事業を中心に成長してきた当社にとって新しい柱を育てる挑戦ですが、実際に動いていくなかで確かな「勝ち筋」が見えてまいりました。例えば、大型案件では、機器の納入などによる一時的な収益だけでなく、通信サービスとして毎月継続的に収益を生む「リカーリング」の仕組みをどう積み上げるかが成功の鍵となります。沖縄県内の投資計画や地域のニーズを細かく分析し、どの案件を狙い、どのような商材をご提案していくべきか。実践を通じてそのステップが明確になり、ビジネスの実行力が着実に積み上がっています。

この挑戦を支えているのが、長年培ってきた地域との関係性です。沖縄の企業には当社を知っていただいていることが多く、提案に伺っても、いわゆる「玄関で跳ねられる」ことはありません。これは単なる知名度のおかげではなく、これまで多くのお取引先さまと手を取り合い、ともに地域貢献などに取り組み、地元企業と共創してきた歴史があるからです。この恵まれた環境のなかで、私たちは実直にトライアンドエラーを重ねてまいりました。

中期経営計画の初年度にあたる2025年度は、営業収益863億4,800万円、営業利益186億9,300万円となり、増収・増益・増配の「3増」を実現しました。25期連続増配も継続し、配当性向は47.2%です。私はこの成果を一過性のものとは考えていません。既存事業と成長領域の両輪が動き出し、初年度から手応えを感じています。

私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。ここから2030年度目標達成に向けて、成長のための投資を続けながら、株主の皆さまへの還元にも取り組み、企業価値の向上につなげていきます。
 

沖縄の未来と、当社の成長を重ねる

地域の大きな変化を、新たな価値創出につなげる

沖縄の未来を考えるうえで、大きな取り組みの一つが「GW2050 PROJECTS推進協議会」です。県内の主要企業や自治体が連携し、2050年に向けて県内GDPを倍増させることを目指しています。その中心となる企業の一社に当社が選ばれたことは、これまでにない大きな機会だと感じています。

より歴史の長い地場企業の皆さまと肩を並べ、沖縄の将来を一緒に考えられることをうれしく思っています。創薬拠点づくりをはじめ、すでに具体的な戦略や取り組みも動き始めています。沖縄で生み出した価値を地域内で循環させる仕組みづくりが進んでいます。

また、沖縄には土地の制約がある一方で、今後は大規模な跡地利用などによる街づくりも控えており、新たな産業拠点や観光地として生まれ変わる大きなポテンシャルを秘めています。「沖縄の未来をもっと豊かにしたい」という強い想いをもつ人たちが集まり、具体的に動き出しているこの変革期において、当社がお役に立てる領域は数多くあるはずです。

当社はあくまで通信会社ですが、今やどのような街づくりや事業においても、通信は欠かせない基盤となっています。私たちがこれまで培ってきた通信インフラの知見を軸に据えることで、総合体育館などの施設整備や教育分野などにもその実績を活かすことができます。通信会社としての強みを活かして積極的に沖縄の発展に尽力してまいります。その延長線上に、当社のビジネスの成長があると考えています。
 

スピードと実行力を磨き、沖縄の未来へ事業で恩返しを

地域課題の解決という新たな価値を創出し、皆さまの期待にお応えしていくためには、「まずはやってみよう」という前向きな組織文化が欠かせません。私が社長に着任した際、約60人のグループリーダー全員と一対一で対話をしたのですが、「当社の強みはスピード。一方で、勢いがある分、少し緻密さに欠けるところがある」という率直な声が返ってきました。

決めたらすぐに動く機動力は当社の大切なDNAです。その良さは残しながら、取り組みの結果をきちんと振り返り、失敗を次に活かす仕組みを整えることが今の経営陣の役割だと考えています。社員一人ひとりが沖縄への貢献という同じ方向を向き、自分で考え、スピーディに動ける環境を整えることで、必ず新しい提案が生まれ、それが事業を通じた恩返しにつながっていくはずです。

今年で創業から35年を迎えます。私たちは地元の企業として、社員、取引先、そして県民の皆さまに本当に支えられてここまで育ってまいりました。だからこそ、これからは私たちが地域の課題解決にもっと深く踏み込み、皆さまにしっかりと恩返しをしていきたいと強く思っています。

株主・投資家の皆さまに対しては、既存事業を着実に伸ばしながら成長領域への挑戦を続け、その成果を一つひとつお示ししてまいります。成長のための投資と株主還元の両立を図りながら、すべてのステークホルダーの皆さまの期待に応えられるよう成長を続けてまいりますので、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。